社長ブログ

組織にとって重要な上位概念

 ローマの格言に「Principia non Homines」(プリンシピア・ノン・ホミネス)

―――――大切なのは原則であって、人ではない。原則が確立していなければ、どんな人物が出てきてもどうしようもない―――――――

 という言葉がある。

 企業にたとえるなら、理念・方針等が決まっていなければ、どんな優秀な社員がいても無駄であると解することができる。

 しかし、本当にこのことは正しいのだろうか?

 歴史を繙(ひもと)くとこの格言が誤りだと気付く。原則の確立していたローマは人によって東西に分裂し最終的に不敗の帝国は崩壊していった。

 マルクス主義の原則が強固であった共産諸国は民衆という人々によって消滅していった。

 理念・方針があったであろう幾多の会社も企業間競争に敗れ倒産していった。

 したがって、原則より「人」が重要な上位概念であり、「人財」と「原則」が共存して始めて企業の継続が担保されるのである。

経営成果に大きな影響を及ぼす要因

 経営者のその経営の営みは、経営者が意識するか否かに拘らず、その根底に特定の人間観を含んでいるようである。

 人間そのものをどう摑んでいるのか、との見解を包蔵しているようである。

  「マルクスの経営学は、明らかにマルクス流の人間観を前提として形成されており、ゾンバルトの経済学も、ニックリッシの経営学もみな彼ら一流の人間観を踏まえて、それを出発点として形成されている」(飯塚毅先生)

 企業は異なった人々の集合体としての組織が経営目的を達成する有機体である以上、経営者の人間観の相異が、その経営成果に大きな差を生じさせることとなる。

 したがって、「経営方針」の中にどの様な「人間観」を入れるかが重要な要素となる。

企業体力の低下をさないために

 事業が好調だと、気を引き締めているつもりでも甘さが出てしまう。

 経営といわず組織は官僚主義や非効率な慣習が蔓延しやすく、硬直しがちである。

 私は長い実務体験から、経営年数と経営成績が反比例して行く現実に沢山遭遇してきた。それは、あたかも人間の年齢が一定時をこえると、年を経るとともに体力が低下し、意欲が減退することに似ている。

 企業価値を向上させ、成長発展させる企業の体力の低下をさないためには、企業を構成する人と組織をどの様に創り上げていくかが最大関心事となるはずである。

 特に人の意欲と能力が組織にどの様な影響を及ぼすかを考慮してみる必要がある。

戦略の流れと動き

今から23年程昔、TKCの御縁で株式会社大塚家具の常務取締役の方と交流する機会があった。

 大塚家具は「街」の家具販売店にすぎなかった商店を、大塚勝久会長が社長になってから、ジャスダック市場に上場するまでにした企業である。

 常務の話によると、「当時の大塚社長は販売する商品に物語をつけている」とのことであった。すなわち、「商品を売る」のではなく「商品に不随する物語」を売るとの発想をしていたのである。

 商品に限らず企業経営には「物語」(ストーリー)が必要である。

 物語とは、経営を構成する多面的要素をどの様につなげ、全体として、どう動き、その結果何が起こるのかという「戦略」によって構成される「コト」である。

 つまり各要素がそれぞれ「静止画」となっているのでなく、「流動的」であり、「先」が楽しく感じられる状況をつくり出していることである。

 それはまさに面白い小説を読むがごとくのものである。

すなわち、優れた戦略は、戦略を構成する要素がかみあって、全体としてゴールに向かって動いていくというイメージが動画のように見えてくるものである。

全体の動きと流れが生き生きと浮かび上がってくる。これが「物語」があるということである。